会議での一言、上司からの指摘、既読のままのチャット。仕事が終わって家に帰っても、そのシーンだけが頭の中で何度も再生される。「もう終わったことなのに」と思うほど、逆に忘れられなくなる。そんな自分を「メンタルが弱い」「根に持つタイプ」だと感じていませんか。
嫌なことを引きずってしまうのは、気持ちが弱いからではありません。出来事を自分の中で消化しきる前に、次の予定や次のタスクへ進まなければならない構造があるからです。人との間の空気や感情の機微をじっくり感じ取る資質を先天的に持つ人が、いまはスピードと結論を優先する環境で脳を使い続けていると、感情の“未処理”が積み重なりやすくなります。大事なのは根性で切り替えることではなく、感情を安全に“保留”する手順を持つことです。
「切り替えが早い人は気にしない人」「いつまでも考えているのは、根に持つ性格だから」。一般的には、そう見られがちです。反省が長い=ネガティブ、忘れるのが早い=メンタルが強い、という理解です。
ですが実際は、忘れる・忘れないの話ではなく、意味づけを終えるまでの手順の長さの話であることが多いです。たとえば会議中、上司に「それ、前にも言ったよね」と言われたとします。その場では「すみません、直します」と返し、仕事はそのまま進められる。ところが家に帰って夕食を作っている間も、お風呂に入っていても、布団に入ってからも「なんであんな言い方をしたんだろう」「次に同じことを言われたらどう返そう」と、そのセリフだけが繰り返し頭に浮かぶ。表面上はもう処理できているはずなのに、内側では処理が終わっていない、という状態です。
これは、出来事が起きた瞬間に結論を出して次に進むタイプの脳の使い方と、出来事の背景や相手の意図までじっくり拾ってから納得したいタイプの脳の使い方の、処理にかかる手順の数が違うために起きます。後者の手順を踏んでいる途中で、次のタスクや次の予定によって強制的に処理が中断されると、その続きが未完了のまま頭の中に残り続けてしまうのです。
脳命算では、生まれ持った気質の傾向(命式)と、いまの脳の使い方の傾向(脳タイプ診断)を突き合わせ、その“ズレ”から「わかっているのに、うまくいかない」状態が起きやすい構造を言語化します。人との関わりの中でじっくり感じ取る資質を先天的に強く持つ人が、いまの環境や役割では結論を急ぐ振る舞いを求められ続けている場合、感情の処理が追いつかず「引きずる」という形で表に出やすくなる、というのも、この“ズレ”のひとつの現れ方です。
逆に言えば、これは特定の脳タイプが劣っているという話ではありません。社長脳・職人脳・企画脳・人柄脳のどのタイプにも、力の出る場面と出にくい場面があるだけで、優劣はありません。「先天と現在のズレ」とは?報われなさの正体で、この考え方の全体像を詳しく説明しています。
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これらは今日の対処法です。根本的には、いまの環境や役割が、自分の感情の処理の仕方とどれくらい噛み合っているかを知ることが、繰り返し疲弊しないための近道になります。
※ 本コラムは自己理解のための情報提供であり、運命・吉凶・優劣を断定するものではありません。当てはまり方には個人差があります。